10月は頑張ってジャケットを縫った(未掲載)のに、
11-12月(半ば)は梅模様の紫スカーフ(未掲載)など小物が少しだけ。
唯一服らしきものがこの巻きスカート。
ただの長方形布(市販のストール)にひもをつけただけで、
えっスカート? ひざかけの間違いじゃ…と言われそうだけれど。
もちろん、ひざかけとしもて利用可能。着物胴裏を裏地につけてるからあったかですぜ、お客さん。
93歳の夫母が、私が毛布みたいなロングスカートをレギンズに重ねているのをみて、何度も、「暖かそう」「それ良さそうね」と言う。リハビリ病院と寒い自宅とケア付き施設をぐるぐるしている大変な状態の合間のこと。確か去年も言われた記憶がよみがえり、縫ってみることにした。
筒型の(つまり普通の)スカート状にして、ウエストゴムにしようかとも思ったけれど(自分用だったらそうした)、考えた末に巻き状にした。小さい人がさらに細く小さくなってしまって、これまで着ていた自分の服すらユルユルになってしまって、しかも上からかぶったり、脱ぎはきも大変なのだ。
少し前、丸首のTシャツを前あきにしてくれと頼まれた。前身頃をただ半分に切り分けて三つ折りで端を始末しただけ。ボタンも何もつけず。病院に行ってみたら、それを前で打ち合わせて、ひもベルトで締めて着ていた。ユルユルの服をボタンで留めるのも、すかすかして寒いのだという。この年代の人には、着物を打ち合わせて着る記憶が、体にしっかり残っているのかもしれない。
なのでこの度のスカートも、腰巻状が調節が効いて良いだろうとの判断。本人の希望もきかず、採寸もなにもせず。いちいち確認されるのも、全身が弱っている人には大変なのだ。そういった小さなことでも、エネルギーも気も使う。親切で元気な(相手の気持ちをおもんばかることが苦手な)(だからとてもうっとおしい)見舞客がやってきて本当に大変だった、と聞かされたこともあった。
お見舞いやいたわりや応援の気持ちに偽りはなくても、それが何の役にもたたないだけでなく、負担になることもあるのだとは、なかなか理解できない。巻きスカートも、寒い自宅では有益だったたかもしれないが、暖房ギンギンの病室ではいらないかも。
それでも、余った端布でセットにしたくび巻きが、「引っ越し(転院)の途中で何かの荷物に紛れたみたいだから探してくれ」と連絡あり。その後、こっちにあった、巻きスカートと一緒になっていた、と。くび巻きだけでも役に立ったのなら良かった。
(スカーフ、ショール、ストール、スヌード、ネックウォーマー、ティペット…まとめて)くび巻き…は、一年を通して(室内でも)手放せないアイテムである。春夏秋は綿・麻、秋冬はシルクとウールとファー。これほど気軽に温度調節ができるアイテムはない。肩こり対策にも、セーター一枚よりファーひと巻き、である。なので、リメイク熱再燃で、当然着物地でもくび巻きを何枚か作っている。けっこう楽しい。簡単気軽に作れるしね。
ファーでは今年、たしかGUCCIだったか、動物愛護の観点から利用をやめるとのニュースがあった。日本ではあまり言わないが、欧米ではファー反対の結構過激な(ヌードだったりする)デモも行われる。
親しかったイタリア人女性(ベジタリアン)も、ファーに批判的だった。私のくび巻きファーに文句は言わなかったけれど、反対者にシンパシーを持っていたのは確か。私は平気で着用していた。だって断然あったかいんだもん。優れた防寒着としてずっと利用されてきた歴史はどうなのだろう。エスキモーにもフェイクファーにしろと?
いや、昨今もっとあったかいマイクロファイバーとかナントカ綿とかあるし、って? 私は石油系より自然モノが良い。ビニール靴より革のブーツが良いな。ビニール靴も履くし、アクリルセーターも着るけどさ。
ファーには特別の付加意味もある。「毛皮」の前に「豪華な」という形容詞がつく。そういうものにしてしまった人たちの歴史が欧米にはあって、そういうものにされ得る暖かさ以外の意味がファーにはある。
革ジャンも革ズボンもファーコートもあまり好きではない、という人がいる。感覚的に受け入れられない何かがあることも理解できる。でもそんな人も、革靴と革のバッグと革のベルトは平気だったりする。日常的に用いられる単なる素材だから、だろうか。
付加意味とは無関係に、ただ暖かさだけで愛用している私は、汚れればウール洗剤で洗って、何年も何年も首に巻いていた。そうやって20年くらい使っていたら、すっかりくたびれてしまった。柔らかかった毛足はほとんど抜け去り、裏地もぼろぼろ。そんな折、母の押入れに一枚転がっていたのをみつけた。母もファーは好きではなかったらしく、ほとんど未使用状態。今はそれを首に巻いてあったかである。
【作り方】
というほどのものではないけれど。
もとは誰もが一枚や二枚は持っている、端がフリンジになっているストール。腰に巻きつけてウエストにはしを挟み込めば、縫わなくてもそのまま巻きスカートになるようなやつ。
それを縦に二つ折りにして半分に裁断。そのまま左右を縫い合わせ、ウエストを3センチほど折り返して袋に縫い、縫い終わりを3センチほど残しておき、ここからゴムを通せば、裾フリンジのスカートが出来上がり。
写真のように、裾フリンジなしにしたい場合はその部分を切り落とし、裾上げをして縫う。30-40センチくらい残して裁てば、プチマフラーが出来る。
巻きスカートにするには、
①二枚に裁断したストールの長編を縫い合わせ、一枚にする。
②着物の胴裏を横もしくは縦に縫い合わせ、スカート地より少し小さめに整える。
③スカート地と裏地を、巻いた場合下になるほうの端で中表に縫い合わせ、裏返してステッチで1センチのところを押さえる。
④スカートウエスト部で、表地と裏地を中表に縫い合わせる。このとき、切り取ったフリンジを何本か挟み込んで縫い、ベルト通しにする。
⑤ウエスト部分をアイロンで整え、フリンジを表側に縫いつけながら、ウエストから2-3センチほどをぐるりとステッチで押さえる。
⑥ウエスト部分の端に別布(or友布)で作った紐を縫い付ける。
⑦裾を2-3センチあげてステッチで押さえる。
⑧巻いたときに上になる端を1センチのステッチで押さえる。
プチマフラー
①残った布を巾15-20センチの二枚に裁断し、短辺を縫いあわせて細長いマフラー状にする。
②着物の八掛などを裏に縫い付ける。
③端の始末をして出来上がり。
※マフラーをきれいに見せる小技:
裏地が表地と異なる場合、敢えて裏側も見せるような組み合わせなら問題はないが、あまり見せてたくない場合もある。そのような場合は、裏から見た場合、4辺に表地が回り込んでくるように縫うと良い。つまり裏地を巾、長さとも表地より小さく裁ち、裏から見た場合、表地が裏地を額縁のように囲むように縫い合わせる。
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