v-kimono

着物~ビンテージキモノ
~Kimono Remake

若いころにハマった着物、いつしか遠ざかってしまった着物、ビンテージ(アンティーク)キモノの面白さに、プロにワンピースやアロハシャツを仕立ててもらったこともあった。それもまた遠い昔のこと。

そんな忘れていたキモノリメイク熱が、ある日突然一枚の浴衣地で復活した。このたびはオリジナル&ハンドメイドでチャレンジ。一部簡単レシピも公開。[本文を読む…]

Open宣言:浴衣から始めよう

 

  • フォーマルに何を着る?– 20年ぶりに出番がまわってきた縫い取りお召
    01/09 2019

    フォーマルに何を着る?– 20年ぶりに出番がまわってきた縫い取りお召

    11月の終わり、不思議な役まわりで、パリに行った。 友人がどうしても行かなければいけないという主役で、彼女に請われ行く私はおまけ。 それでも主催者である美術館からはきちんと私宛の招待状も届いて、 そこには「カクテル」や「ディナー」のスケジュールと、横に「外出着」という文字。 ドレスコードを確認すると、「カクテル(パーティー)」より「ディナー」のほうをフォーマルに、でもワンピースでもOK、ということであった。ちょっとドレッシーであれば良いだろうと解釈した私に、友人は、「うちにドレッシングはあれとドレッシーはない」とうろたえ、一張羅の大島の訪問着を着ると言い出した。 そんなに気張らなくても、というか、着物・帯・草履他一式の重さと、着慣れない着付けの時間的ロスと、着ている時の肉体疲労と、どれひとつとっても旅先の着物は難儀である。しかも毎日冷たい小雨模様の寒い寒いパリ。 友人、最終的には黒の留袖ドレスを引っ張り出し、それでディナーを乗り切った。私はこのドレス。昔母にもらった着物をリメイク(オーダー)したもの。20年ぶりの出番となったロングワンピースである。ガーネットを帯びたワインレッドに銀(と少しの金)のぶどうの模様が織り出されている。葉っぱは銅の色。 長くこの着物地が何なのかがわからなかった。正絹だとは思うけれど、どういう位置づけの着物地なのか。着物のフォーマルは染めが一般的で、紬など織り(先染め)の着物はたとえ高価なものであってもフォーマルには着ない(とされている)。では刺繍のように模様が飛んでいるこの着物は、どんなシーンで着られたのだろう。 リメイクしたての頃、何の気にもせずにワイン好きが集まるパーティーなどに着ていった。それから着る機会もなく時を経て、知りたいと思ったときにはもう聞ける人はいない。その後、自分でリメイクするようになってからあれこれ調べて、縫い取りお召というものだとわかった。 お召というと経糸横糸に撚りをかけて織られる先染めの着物で、縮緬のようなしぼがあり(お召縮緬とも呼ばれる)、縞や幾何学的な模様が多い。ところがこの生地はすべすべとなめらかで、模様も大柄の小紋のようである。何故こんなに風合いが違うものがどちらも同じお召なのか。そのあたりは合点がいかないが、とにかく昭和30年代に大流行したもので、西陣で織られていたという。11代将軍の徳川家斉が好んで着ていたことから、お召と呼ばれるようになった、とどの解説にもあるけれど、それはしぼのある方だろう。 お召は附下や小紋と同じ「外出着」とされている。「外出着」とは礼装と準礼装の下、街着の上の格付けである。とここで、パリからの招待状の「外出着」も、この日本の着物のTPOを知っての上での指定からもしれない、と気づいた。であれば、「そんなにすごいフォーマル(礼装)でなくても良いけれど、少しおしゃれしてきてね」ということだったのか。 縫い取りお召はしぼのある縞模様のお召よりも、素材感でも模様でもずっとドレッシーである。ブラックパールのロングネックレスを合わせれば、ばっちりディナードレス。半世紀以上を生き延びてパリの舞台に立った母の着物。フランス在住の通訳さんが目に留めてくれた。少し前に母親を亡くし、受け継いだ着物がある、私もあれをドレスにして着たいと。 ちなみにシルバーに輝くパールは材料費2,000円のコットンパール。肩がこる重いネックレスがつけられなくなってしまったのと、旅先に本物を持っていく気疲れから自作したもの。この先これで充分だわ。 はおった着物用ショールも、母のタンスからの頂きもの。ベルベットという素材も、端のレースもゴージャスである。レースのすぐ上のあたりともう一か所にループとボタンをつけて、腕を通せるようにリメイクしてある。これで肩から滑り落ちにくいし、食事のときも邪魔にならない。室内では着物にショールは羽織らないだろうけれど、洋服だから関係ない。着物用ショール、使えます。 そういえば、ディナーの席に着物用道行コートをワンピースのように着ている女性がいた。フランス人か、もしかしたらアメリカの人だったかもしれない。ジャポニズム2018というイベントの一環なので、日本のものが好きな人なのだろう。スクエアネックの素敵なチュニック、と周りの欧米人たちも思っただろう。それでよいのだ。 友人のドレス悩みに少しつきあってわかったことがある。着物ドレスで検索すると、留袖や訪問着のドレスを扱うクチュリエやブティックが、つまりリメイクよりちょっと格が上よ、的なショップがかなりヒットする。これまでこの手のドレスをちょっと違うんじゃない?と思ってきた私、この度考えを改めた。 留袖のドレスを着るなら留袖をそのまま着たほうが良い、と以前は思っていた。でも、留袖も振袖も訪問着も若い時のものは着られなかったりする。あるいは譲り受けたり、アンティークで求めたものはサイズが小さすぎたり。で、仕立て代の高価なドレスを売るショップがこれだけあるということは、それだけ需要もあるということ。 パリで友人が留袖ドレスを着ることになって、同行お世話係の私は正直ほっとしたし、実際ディナーの席でも正解だと思った。中には着物を着ている一団もいて、彼ら彼女たちは華やかなオーラを放ってはいたけれど、場へのなじみという点では留袖ドレスのほうが合っている、と感じたのだ。 そう、TPOって場へのなじみってこと。つまり、それ以外の出席者の装いやレストランの雰囲気になじんでいるのが一番なのだ。訪問着や留袖は、男性だったらタキシードや蝶ネクタイ着用の場になじむ。当日の男性諸氏は普通のスーツ姿がほとんどであった。 着物の場合は、TPOつまり「格」がかなり厳格に決まっている。ただし、背中や袖につける紋の数とか、未婚既婚とかでも着られたり着られなかったりして、着物の「格」はTPOとは少し異なる決まり事であるが、私たちは着物の「格」をとっても気にするし、はずすのを恐れる。 なのに、洋服のTPOはあまり気にしていないように見える。というか、きちんと教えられるわけではないので、よくわからないままなのではないか。これは年代を問わずに感じることである。 イタリア旅行のプランニングをしていて、「少し高級なレストランに行く場合は、それなりにおしゃれをするとベターです」と旅行者にアドバイスしていた。するとほぼ必ず、「じゃあどんな格好が良いのでしょう」と返される。イタリアはそれほどドレスコードにうるさくないし、旅行者には寛容だからあまり気にすることはない。 「男性はジャケットを羽織り、女性は昼間より少しおしゃれにする程度でOK。でも共通することが一つ、靴はスニーカーではなく…」と続けると、「革のウォーキングシューズなら良いですか」と言われたりする。どうやらこの方は、高級な革靴ならどんなデザインでもフォーマルなのだ、と思っておられる様子。これが着物であれば、どんなに職人技の素晴らしい下駄でも、決して訪問着には合わせないだろうに。 それでドレスコードなど要求されると、「粗相があってはならない」と着物になる。着物が無い、自分で着られない、着たくない場合は、着物に準じた感覚で着られる着物ドレスの出番だ。重宝なことに、着物もリメイクドレスであれば、「格」のほうもかなり横断的になるので、TPOの幅も広がる。ここに着物ドレスの需要が確かにある。 特にこの縫い取りお召はドレスにとってもおすすめ。お召自体の「格」も小紋より上で幅広く着られるけれど、訪問着などに比べてこなれた、着やすい模様だったりする。シンプルなワンピースにするとキモノっぽさも抜けて(あか抜けて)、とても使い勝手が良い。ジャケットインにもぴったりで、一枚あるとなにかと便利。 と良いことづくめの縫い取りお召なのに、リメイクで見かけることはほとんどない。ヤフオクで見てもあまりヒットしない。お召(縮緬)であればけっこうあるんだけれど、しぼのある布地は水を通すと縮んでしまうので、リメイクにはあまり向かない。 なお、縫い取りお召の仲間?にマジョリカお召というものがある。十日町で昭和34年から4年間だけ生産された幻の着物ながら、一世を風靡するほどヒットしたとのことで、こちらはときどき見かける。マジョリカ焼きのような雰囲気、と説明される。多色使いかつラメ糸できらきらと織りだされたアラベスクのような模様は、確かにカラフル。ぼってりした素朴な味わいのマジョリカ焼きとはちと違うような気がするが、それはさておき。これなら手に入りやすいかもしれない(が、ピンと来るものがあまりない)。 ところで、同時期にもう一点オーダーで作ったワンピースも、縫い取りお召だった。ワンピースというのを着なくなってしまってタンスで眠らせている。リメイクしてもこれでは意味がない。丈を短くしてチュニックに、あるいはブラウスにするとか、リ・リメイクしようかと思いつつ…。   P.S. 洋服のドレスコードと着物の「格」はどのように対応しているのか、招待状にあった「外出着」はドレスコードでは正しくどれに該当するのだろう。フォーマルと一口に言うけれど、着物に礼装と略礼装(準礼装)があるように、洋服にもフォーマルとセミフォーマルがあり、その下にインフォーマルがある。 たぶん「外出着」が該当するのはこのインフォーマルであろう。対応表がないかと探したら、クルーズ船の解説ページがヒットした。インフォーマルの着物は、付け下げ、色無地、小紋(柄の格調が高いもの)、となっていた。ちなみに洋服では、男性はスーツにネクタイ、女性はスーツかワンピース、これだけである。 面白かったのは、カジュアルなクルーズ船とラグジュアリー船では同じドレスコードでも意味合いが異なる、と書かれていたこと。カジュアル船ではフォーマルでもそれほどタキシードは着ないが、ラグジュアリー船ではタキシード率が上がるのだとか。でもこれって、海の上のことだけじゃないよね。 いずれにしても、決まり事というのはうっとおしい。フォーマルやセミフォーマルについても、がちがちの決まりごとを言われるとそれだけでげんなりする。その「場」になじみ、かつ自分らしく個性的に楽しく装えて、あとはおしゃべりや食事にエネルギーを振り向けられるのが一番。「決まり事」を着るようなことは勘弁してほしい。 そうそう、「使える」着物ドレスには、縫い取りお召以外にも色無地もおすすめ。セットアップにしたり、コートドレスも良さそうである。
  • 迎春 2019!スワッグ to 干しレモン
    01/02 2019

    迎春 2019!スワッグ to 干しレモン

    暮れに突然思い立ってスワッグというのをつくってみた。 ただ束ねるだけだからリースより簡単。 材料は家のまわりにあるもの。 枯れた雑草や、捨てられていた枝とか、てっぺんには干しレモンを留めて。 今年はたくさん無農薬ほったらかしレモンが届いたので、塩レモン一年分に加えて輪切りを干してみた。 何にどう使うのかはあとで考えることにして。昼は太陽にあて、夜はエアコンの風の下においておくと、数日でからからになる。 以前イタリアのサルデーニャのどこかの(オリスターノだったかなぁ)レストランのテーブルに、オレンジの輪切りのひからびたのが飾ってあった。何と組み合わせていたのかは忘れてしまったけれど、からからのオレンジも良いなあと印象に残った。たぶん写真をさがせばあるだろうけれど(と探してみたけれど見つからず。残念)。 とりあえず、2019年年頭に。 今年が良い年でありますように…。    
  • ハイビスカスが元気です!
    11/09 2018

    ハイビスカスが元気です!

    3月だったと思う。それとも別の年の5月だったかな。 那覇空港からタクシーに乗ったら、街路にハイビスカスが咲いていた。 さすが沖縄、もうハイビスカスが咲くんだね、とつぶやいたら、 ドライバーに、一年中咲いてますよ、と言われて二度びっくりした。 それでも夏の花というイメージに変わりはなかったのだが、それがこの秋完全にくつがえされた。 夏の終わりに、蕾がいくつかついた鉢を買った。近所のスーパーの店頭で格安で売られていたのだ。季節が過ぎた売れ残りなのだろう。 ハイビスカスになど興味はなかった。あの真っ赤な色も好きなわけではない。何故買ったのかというと、(蕾みたいに見える)しぼんだ花がらの色がしぶい枯れたようなピンクで、こんな色ならハイビスカスも良いかもしれないと、ふと思ってしまったのだ。 楽しみに開花を待って、なあんだ、とがっかりした。一日花というやつで、気付いたときには咲き終わっていて、最初の花は見られなかったのだ。朝の苦手な私は(朝顔同様)きれいに咲いている姿を拝むことはできないのか。 次の日、午後になってもまだ咲いていた。が、また、なあんだ、と思った。普通の、定番の、お約束のハイビスカスのあの赤じゃないか。知らなかった。しぼんだ花の(裏側の)色は、咲いた花びらの色ではないのだ。 けれども、元気に咲き続けるハイビスカスにはある種の見事さがあって、二度のがっかりにもかかわらず、水やりが楽しくなっていった。不思議なことに、その後のハイビスカスは一日でしぼまず、数日咲き続けてくれる。そんなにがっかりしないでよ、ほら、私も二三日頑張るからさ、ということなのだろうか。けなげだ。 ラベルに10月には室内に入れろ、とあったので、残暑が終われば花も終わるのだろう、と思っていた。彼岸を過ぎた。まだ次々と咲きつづけていた。10月になった。変わらず。そして11月になってしまった。花は咲いてはしぼみ、花がらはひっそりと落ちて、そしてまた蕾がふくらんでいる。 花の終わりが部屋に取り込む目安と(勝手に)思っていたので、冷たくなってきた風に花びらが少し寒そうにしているのを見ながら、どうしたものかとタイミングを計っている。   初めてハイビスカスをベランダに迎え、一つの疑問が浮かんだ。この花がらを干せばハイビスカスティーになるのかしら。エジプトで買った、黒に近い色のカラカラの花がら状のハイビスカスティー。 試しに落ちた花がらを干してみた。いくら干しても細長いままで、記憶にある丸っこい蕾のような形状にはならない。エジプトのハイビスカスが違うのか、はたまたエジプトの太陽だとあのように短く干上がってしまうのか。 調べたらお茶にするのは観賞用のハイビスカスとは別の品種で、同じアオイ科の『ローゼル(Hibiscus sabdariffa)』というものらしい。しかもお茶になるのは花ではなく、赤いガクの部分だという。知らなかった。   お茶にならないとわかっても、相変わらずハイビスカスの花柄を干している。はらはらと花弁が散るのではなく、律儀にくるくると元に戻るように花が閉じて、閉じたまんなかにてんてんとおしべが覗いて、時間と共に枯れたピンクが枯れた紫に変色していくハイビスカス(の花がら)は、かさかさと音を立てる手触りといい、秋にふさわしい花(がら)のような気がする。 咲き終わってすぐはくすんだピンク、だんだん紫が濃くなり、最後は白っぽいくすんだ紫になる 真ん中の写真、黒っぽい物体がエジプト産ハイビスカスティー(もっと立派な形状だったのに、どんどん型崩れしてよくわからないシロモノになってしまった)   この花柄のような色の羽織りカーデガン風ブラウスジャケットをつくったのだけれど、アップできないままでいる。柔らかい綿で、着心地抜群。なんとかお披露目だけはしてあげたい。    
  • 着物の格子とタータンチェック
    09/19 2018

    着物の格子とタータンチェック

    着物の柄は実に多彩だけれど、伝統模様というより定番と呼びたいものがある。 ここでは格子について。   チェックと格子 格子(チェック)は世界共通の模様で、服地の世界でも定番である。なかでも、数種類の糸を交差させることにより組み合わせのぶん色の数が増えるタータンチェックは、繰り返し人気が浮上する、波のある定番模様である。今年はその波がまたやってきたようで、タータン模様が目につく。 これまでで大きな波はバーバリーだろうか。高校生が皆バーバリーのマフラーを巻いていた。ブレザーの制服にはよく似合ったけれど、制服だから同じでも違和感がなかったのであって、それがあらゆるところに溢れると、ちょっと食傷気味となった。 タータンの魅力は、複数の色の糸が織りなす華やかさだろう。たとえば6色の色糸を縦と横に繰り返して使えば、織り出される色は21色となる。 計算式:{X(糸の色数)+1}×X/2=織りあがった色数 タータンの定義は、ウールの綾織りであること、二色以上の色を使うこと、縦と横の糸の色と数が同じこと。このルールがあるおかげで、一発でタータンとわかる。 スコットランドがオリジナルのタータンチェックは、そもそも氏族によって色や組み合わせが決められていた。日本の家紋とは違って、本家と分家でも色模様が異なるという。一目でどこの氏族かわかるというのは、エンブレムや旗印だけより、戦場では役に立ったのだろう。 その後さまざまなタータンが生まれ、名前をつけられ、分類されている。今では「スコットランド・タータン登記所」に申請し、上記の三点の条件を満たし、オリジナリティが認められれば、独自の名前で登録できるという。 参考:タータンチェックの種類と魅力的な文化・歴史|スコットランド旅行記01   正方形と長方形 着物の格子もタータンチェックだよなあ、とひそかに思っていたのだが、残念ながら登録はできない。ウールの着物もあるけれどたいてい平織だし、二色以上の糸を使うという条件はクリアできても、ひとつだけクリアできないのが、「縦と横の糸の色と数が同じ」という一点ではないかと思う。手持ちの着物の格子柄を見ると、みな縦と横の糸の色と数が違うのである。 たとえば黒、黄、緑、赤の4色を縦と横にシンプルに繰り返した大島紬がある(写真下)。派手な色目で大島特有の光沢もあり、かなりインパクトのある格子である。ただし、色糸の重なりで色に渋さが生まれ、個性と落ち着きが共存している。着物地といわれなければわからないモダンさもある。この格子、縦と横の色の数は同じだけれど、糸の数は異なる。なので格子が長方形になっている。 もう一枚の紺地の大島もやはり4色の色を使った格子で、こちらもとてもモダンである。が、やはり縦と横の糸の数が異なるため、格子は長方形である。 正方形の格子もないことはない。江戸の役者名からきた市松模様というのがある。黒と白の市松などきっぱりとしていて、気こなしによってはとても粋である。けれどもこの市松も、着物になると(どうかすると)縦長や横長の長方形のくりかえしになっていたりする。日本人は正方形より長方形が好みなのだろうか。   リズム タータンを見ると、四角形の端正な繰り返しのリズムが目に心地よい。基調となる色が規則正しく四角を繰り返し、安定感、安心感がある。色の組み合わせで一発で氏族やブランドが分かるのも、すごいことである。 一発でわかるというのはそれだけ個性が強いということだけれど、それだけ規範が固定的に強いと、個性的だけれど平凡ということにもなったりする(バーバリーしかり)。そうなると端正な繰り返しは単調で退屈なくりかえしになり、リズムの強さの中に着る者の個が埋没してしまうようなことにもなる。 着物の格子も、一定のパターンに従って色糸が繰り返されているわけで、そこにリズムが生まれるのは同じだ。タータンと異なるのは、縦と横で色糸の繰り返しパターンが同じではない、ということだろう。 たとえば上記写真の紺の格子の大島の赤糸を見ると、縦と横で糸の本数・通し方が違う。色の並べ方の順番も、縦と横で同じではない。糸の数だけで正方形が長方形になっているだけでなく、色の並べ方でも方形の繰り返しのリズムは崩されている。 安定感がない、落ち着かない、というわけでは決してない。けれども、上から下まで同じ模様が、だーっと面積広く身の上を占有する着物には、端正で規則性の高いリズムより、おおらかでどこかに「破」のあるリズムのほうがなじむのかもしれない。 格子の着物から洋服へのリメイクは違和感なく行っているが、このたびタータンを眺めながら、タータンチェックは着物になるだろうかと想像してみた。帯だったらイケるかもしれない。でも着物は…、ちょっと難しそうである。市松もあるし、ウールの定番のような二色の格子もほとんどタータンなのに、なぜか伝統的な由緒正しきタータンは、着物に仕立てても着物になってくれないような気がする。   縦の線 ビビッドな赤の綿格子から、ラップスカートとボレロ、ミニトートを作った。    この格子を眺めていて気付いたのは、格子に通る縦の線である。 経糸は赤、黒、茶鼠(グレイがかったカーキ色)、黄、の四色であるが、横糸は赤と黒だけである。縦にだけ通る残りの二色のうち目に強く飛び込んでくるのは、糸のように細く黒に沿っている黄色ではなく、リボンのようにすっと伸びる茶鼠である。 横糸で格子をつくる黒の線も細く、従って地の赤に印象的なのは茶鼠の縦線で、格子というより、縞(ボーダー)の要素が強まっているのだ。 そういえば…、と他の格子の着物(地)もあらためて眺めてみた。藍に赤と黄色と白、ブルーと5色が使われている綿着物(写真手前)では、横糸には藍の地色の他は黄色しか使われていない。ここでは黄色と赤の線が縦にボーダーになっている。茜色と黒と白のウールの着物も同様で、黒は縦にしか使われていない。 格子の形の長方形も縦長だし、着物では縦の線が強く意識されていることがわかる。これもまた、袖も長く、帯から下も足先までひと息に長い、着物という形態と関係があるのだろうか。あるいは、長方形と同じように日本人の「好み」がそこにあるのか。 縦に線が通っている着物地は、リメイクで縦に使うか横に使うかで表情が異なる。それがとても面白いのだが、実は縦に通るラインは、格子や縞だけではなく幾何学模様や草花模様にもはっきりとある。 九鬼周造は、縦縞が「粋」であるのは重力にも関係があると書いているけれど(「粋の構造」)、上から下への(あるいは斜め下への)視線の流れが常に意識されているのが、日本の着物なのだろう。「和」からなるべく離れて自由にリメイクしたい私は、だから着物地を横に使うのが好きなのかもしれない。    
  • スリーブレス そろそろ終わりか 猛暑でも…トップスベスト3
    08/14 2018

    スリーブレス そろそろ終わりか 猛暑でも…トップスベスト3

    8月に入ってからも再販依頼をいただいたりしたので、 思い切ってもう二点スリーブレスをショップに出した。 まだまだ暑いし、特に今年は猛暑だし、欲しい方もいるかもしれない。 トントンと気に入ってくれる方が現れた。 世間はバーゲンも最終戦というこの時期、ありがたいことである。 実はこの二点、今年縫ったスリーブレスのなかで特にお気に入りのもの。浴衣地の布力がすごくて真っ先に縫っていたのに、なぜかタイミングが合わずに出しそびれていた。どたばたするうちに8月に入り、このまま機を逃してしまうんじゃないかと思っていたもの。 何がネックかというと、写真。写真にとらなければアップもできない。どの順番でアップしていこうかと考えて、制作順とは異なる順番で写真を撮っている。一度にたくさんは撮れず、縫いの合間に撮ってアップして、また撮って、とやっていて最後に残ってしまったのだ。 駆けだしショップオーナー、運営に色々と難はあるが、全部一人でやっているので、なりゆき気分でゆらゆらゆるゆるやるしかない。本当は一人だろうと何人だろうと、ちゃんと戦略立ててやらなくちゃいけない。わかっちゃいるけど出来ないのだ。そこまで商売になってしまうと、創作意欲が減退してしまうのだ。かといって売れなくても減退はする。難しい。 そうこうするうちに、フレンチスリーブや半袖でオーダーが入り、気が付いたらもう8月半ば。このところ雷雨が続き、このまま夏が終わるんじゃないのかという気すらしてきて、あわてて書きかけ記事を書いている。   このデカ団扇、着るとなかなか粋である。先日美容院のおにいさま二人にも見せびらかしたところ、すごく良いとおほめいただいた。リップサービスが入っているにしても、自分で言うのもなんだけれど、本当にカッコ良い、ぶっとんだ柄ゆきである。それがまたこのトップスの潔さにぴしゃりとハマっている。これに衿をつけたり、袖を足したりしてはいけない。 アイキャッチの梅模様も、きっぱりとした色柄がとても好ましい。黒に近い紺に、梅のしべの鮮やかな赤。奔放に走る枝と、気まぐれにぶら下がる蕾の白。ポップな勢いに柄のバランスも絶妙で、梅なのに夏というのも自由で良い。 デカ団扇もそうだけれどこのおおらかさがまさに浴衣で、浴衣ってTシャツだよなとあらためて思う。その昔の湯帷子(熱スチームよけの麻の着物)、つまり下着がオリジナルで、それが普段着に昇格したというのも同じ。自由奔放な遊びごころに満ちあふれ、そこに色や模様の技が躍る。 もう一枚のお気に入りはこちら。キメの写真がないのでど~んとアルバムで。   写真がイマイチなのが悲しい(なんでサムネイルがぼけぼけ?)。良さが伝わらない。コーヒー色の地色に月の光を浴びて花や葉がぼーっと浮かび上がる、そんな幻想的な柄ゆきがとっても素敵で、花のひわ色や桜色、藤色、葉の藍もぼかしが入っていて、全体の輪郭をぼかす白も全てが優しい。それを締めるのがしべの朱と縁取りの白。大中小と様々な大きさの花の群れが明るい闇のなかを優雅に流れ、大ぶりの葉がその流れに従っている。まるで一幅の絵画なのに。 浴衣地のタグに、この浴衣は日本で染め、中国で縫ったものです、と注意書きがあった。一部はミシン縫いで、衿の切り込みの入れ方が深く、しかもカーブを描いていて、昔のものとは違っていた。染も、一応裏まで染料は通っているけれど、表裏二度染めの注染ではない。でも、そんなことはどうでもよくなるほど「酔わせてくれる」柄ゆきなのである。 この三枚、いずれもが2018夏のマイNo.1で、どれか一枚を選ぶことができない。全く違う個性、全く違う雰囲気に、まとった瞬間自分が染まる。すごいなあ!と着るたびに思わせてくれる、今年の夏の出会いに感謝。 iichi:https://www.iichi.com/shop/ks-remake Creema:https://www.creema.jp/c/ks-remake/item/onsale official SHOP:https://shop.ks-remake.com   追記 8/29: 夏の終わりにオンラインショップをつくってしまった…。 おかげで商品としてあちこちに埋め込めるようになったので記念にペタリ。   
  • 07/28 2018

    洗える浴衣は使える浴衣

      明るい色の写真で明るい話しを書きたいのだが、なぜかまた地味色トップスである。 しかもまたまた浴衣ネタ。 というか、夏は浴衣Tしか着ないかも!宣言してるし、浴衣リメイクしかしてないし、 だから浴衣ネタしかないのである。 夏はまだまだこれからだけれど、夏物はいつまで売れるのだろう。派手柄のノースリーブトップスは8月になっても買ってくれる人がいるのだろうか。このあたりで袖ありを出したほうが良いのではないか、などとにわかショップオーナーは考えた。 それで縫ったのがこちら。う~ん、シブい。やっぱり派手目で明るい色あいのあっちにしたほうが良かったかなあ。でもシンプルデザインに徹したこっちにはこっちの良さもある。 ①ボートネックにアクセサリーが生える。ボトムがデニムだったらこんなエチオピアンチェリーや、シェルとターコイズのチョーカーなんかも良さげ。南洋真珠やキラキラビーズにすればエレガントディナーにもイケる。 ②いろんなボトム、手持ちのはおりものやスカーフ、ジャケットインにも合わせやすい。 が、最大の優れ点は以下の二つ。 ④しわになりにくい。 ⑤洗ってもすぐに乾き、ノーアイロンでOK。 というのもこの浴衣地、帝人テトロン。綿とポリエステルの混紡である。 春から数回にわけてオークションで落とした浴衣。結構な数のうち、一枚が反物状のこの混紡であった(あと一枚、ミシン仕立てのポリエステル100%も)。セット売りなので柄や素材に当たりはずれがあるのは仕方がない。この二枚は使えないかな、と半ばあきらめた。 期待もせずに自分用に(別デザインで)縫ってみると、いやあ、悪くない。綿は絹や麻より扱いやすいけれど、それでもアイロンをかけないと可愛そうなものもある。ところがテトロン君にはそれがいらない。気を使わないで着られるというのは「使える」ってこと。 肌触りもさらりとしているし、ポリ100のような汗を吸わない不快感などまったくなくて、着心地も悪くない。旅行に最適である。天然素材100信仰は根強いけれど、これなら一枚あっても良い。 無事出品あいなったこの浴衣Tには、もうひとつエピソードがある。ショップの作品解説には書かなかったけれど、実はこれ(元巨人軍選手にして現野球解説者の)柴田勲浴衣なのである。反物を巻いたビニールカバーに、若かりし柴田選手が浴衣を着ているプロマイド(死語だよな、たぶん)が挟み込まれていた。 セピアの写真に白ぬきのサイン入り。せっかくだから載せておこう。着ている柄は違うけれど、まあご愛嬌ということで。しかしいったい何年前の写真だろう。いったいどこで、プロマイド付きの反物のまま眠っていたのだろう。     最近、インスタ映えすると男子にも浴衣が人気という。本田浴衣とか売れそうだね。で、本田に似合う浴衣ってどんな? 手持ちの浴衣地を思い浮かべた。真っ先に浮かんだサッカーボールみたいな三つ巴紋より、むしろきっぱりした古典的な大柄が似合いそう。インパクトのあるやつ。 iichiだと7月31日まで10%OFF:K’s -藍色格子のかぶりTブラウス ボートネック  

 

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