コロナ禍でもやってくるのが確定申告。
去年は提出期限が延長されたけれど、今年はどうなんだろう。
先のことを考えても仕方がない。
正月明けの初仕事は棚卸と決算仕訳。
繰越作業を終えれば新たな年の制作業務もハレバレと開始できる(気がする)。
一年は早いけれど、やったことを忘れるには十分な長さ。今年もやっぱり忘れていた。どうしても[材料]と[仕入高]がごちゃごちゃしてすっきりしない。棚卸が楽勝になったので、ここを悩んでみた結果、材料を仕入れたら[仕入高]ではなく、[材料仕入高(製)]で仕分けることにした。で、個人的忘備録と、後半は超個人的反省と課題抽出である。
これまでの関連記事:
ハンドメイドで(初めての)確定申告やってみた
ハンドメイドの確定申告2019 とりあえず棚卸やってみた
棚卸
棚卸はは無料のエクセルのテンプレートをダウンロード、一部手直しして制作管理表と合体したBookを作った。ダウンロードしたサイトは忘れてしまったので紹介できないけれど(検索すると山ほどヒットする)、商品マスタというシートに材料仕入高、製品単価、販売数、などを入力していけば棚卸のシートに反映され、計算される仕組み。
期末の製品額と材料額が出るので、これを決算仕訳で記帳していく。
決算仕訳を行う
2020年はこんな項目だった。
家事按分:マネーフォワードでは 決算・申告>家事按分 に按分する科目と按分の割合を登録しておく。編集>更新すれば自動で決算仕訳をしてくれる。たとえば通信費。私の場合、電話代とネット回線料は案分し、サーバーレンタル代やドメイン管理費は販売促進費として経費計上している。
減価償却費:マネーフォワードでは器具備品に仕分けした固定資産を 決算・申告>固定資産台帳に登録しておく。職業用ミシンを定率法で償却する設定にしていたので、編集>更新。すると今年度の決算仕訳が完了する。
去年は業務用アイロンとバキュームアイロン台、カメラなどを購入した。青色申告だと30万円以下の備品が一括して減価償却可能。その場合の仕訳は以下の通り。
(借)減価償却費 50,000円 (貸)工具器具備品 50,000円 アイロン(少額減価償却資産の特例により減価償却)
未払金:未回収の売掛金から販売手数料を未払金に振り替えておく
製品:期首に10,000円分残っていた製品が期末に棚卸したら5,000円だったとすると、
(借)期首製品棚卸高 10,000円 (貸)製品 10,000円
(借)製品 5,000円 (貸)期末製品棚卸高 5,000円
材料:仕入れた材料を[材料仕入高(製)]でつけることにしたのだが、[材料]と[材料仕入高(製)]がごちゃごちゃしてしまい、なんだか変なことに。期首に20,000円の在庫材料があり、期末の棚卸で25,000円が残っていた場合、正しい仕訳は次のようになるのだが…。
(借)期首材料棚卸高 20,000円 (貸)材料 20,000円
(借)材料 25,000円 (貸)期末材料棚卸高 25,000円
悩んだのは材料と材料仕入高(製)の違い。[製品]と[材料仕入高(製)]の棚卸は残高試算表の損益計算書に反映される。[材料]は資産なので貸借対照表である。この切り分けが理解できず、棚卸の決算仕訳を[材料]ではなく[材料仕入高(製)]でつけてしまったのだ。通常の仕入は[材料仕入高(製)]で仕訳しても、棚卸の期首と期末仕訳では[材料]で仕訳しなければいけない。
すると損益計算書の[材料]の期首高と期末高、及び貸借対照表の[期首/期末棚卸材料仕入高(製)]の両方に反映される。これが最初理解できなかったのだ。
おかげでやっとすっきりとした。製品製造原価も、きっちりと今期に利用した材料仕入高だけが計上されるようになり、原価がどれだけかかっているのかがクリアになった。
雑所得/事業主貸:決算仕訳ではないけれど、持続化給付金をいただいていた。非課税と思い込んで個人口座で申請してしまい、記帳もしていなかった。確定申告時に雑所得で申請すればよいように思っていた。が、これは事業用収入とみなされるらしい(そりゃそうか)。事業用口座であれば普通預金/雑収入と仕分ければよいが、個人口座ではそうはいかない。たとえば満額いただいたとして、
(借)事業主貸 1,000,000円 (貸)雑収入 1,000,000円
[事業主貸]と[事業主借]、わかりにくいので極力使わないようにしていたのだが、やむを得ない。本当は個人用カードで接着芯などを買った場合は[事業主借]、事業用カードで靴なんか買ったら[事業主貸]にしなくちゃいけない(両方やってしまっている)。個人事業主には必須の科目。これ以上避けては通れないかなあ。
去年を振り返り、今年のことを考える
2020年はコロナに明けてコロナにくれた。今年も明けてみればまだコロナだ。ひたひたと増えていたのが、あれよという間に増加率も増加。感染者数も死者数も療養者数もである。
引きこもり気味の制作風景は何も変わっていない。それでも、予定していた別の仕事は流れ、予定していた友人関連の展示会も流れた。実売の場を失い、売れ行きも伸びず、それでも制作してしまう日々。
Creemaからのマスク作れ要請に動かされ、マスクを200枚ほど縫った。困っている人のためにとかなり割安にしたところ、ほぼ完売。夏が終わってマスクもいきわたるようになり、浴衣シーズンも終わる頃、11月末のクリスマスギフト展が決まった。
11月に入るとGo to トラベルの東京制限が解除されたためか、地元の感染者数がぐんと増えていた。心配しながらも感染予防対策を取って開催したところ、終わってみればかなりの来場者数。個人的な知り合いは少なかったのだが、来てくれた人にあまり緊張感はなかった。幸い無事終わって、こんな感じなら出来るんだ、ということがわかった。
ギフト展には小物しか出せないので、財布とバッグをかなり作った。それから(アンティーク)ビーズとのコラボネックレスも。新しい作品を作るのは楽しくて、ビーズあさりも楽しくて、でも気が付けばなかなか売り上げにつながっていない。
展示会準備に力が入ると、どうしてもネットショップの運営にエネルギーが回らない。すっかりサボってしまって、これで売れるわけはないのだ。引き続きの課題である。
棚卸作業で制作管理表も見直してみた。試作で終わっている材料もあるし、チェックは必要。制作数と販売数も合計してみた。すると2020年はかなりの数を作ったことがわかった。うち試作が1割ほど。製品で売れたのが76%。マスクほぼ完売が大きい。でも売り上げは相変わらずの低水準。マスクもエシカルな値段にすれば良かったのかも。
製品の販売率は、展示会以外だと87%にアップする。まとめオーダーもあり、それが売り上げの半分ほど。ありがたいことだけれど、オーダー制作に追われてオリジナル制作やネットショップ掲載が滞った側面もあった。
オーダーは注文主の意向という制約と、創作意欲とは無関係な納期が発生する。そのためにやりにくかったりもしたけれど、デザインなどは全ておまかせいただき、思いもかけないものが完成し、それが新作へとつながることもあった。
秋にはギフト展の準備に入らなければいけなくなり、納期を大幅に待っていただく事例も発生してしまった。いつでも構いません、待ちます、と言っていただき、これもまた大変ありがたかった。
オーダーについては、ネットショップでも専用ページをつくっても良いかも。夏の浴衣ブラウスはそれなりに注文いただくし、持ち込みで作ったりもした。別のデザインの検討と、素材の掲載の仕方、料金の設定等課題あり。
棚卸・製作管理表でもうひとつ気付くのは、材料仕入高の少なさ。2020年もかなりの着物を頂いて、これを利用して制作することが多かったのだ。頂き物は制作する際に管理表に記帳する。が、それ以前には記帳していない。なので何枚あるのか把握できていない。恐ろしい数の着物が解かれ、洗われて巻かれ、タンスや箱だけでなく、棚にも山と積み上げられている。これらの整理も課題。
去年は持続化給付金が雑収入に入ったおかげで、売上原価額はきちっと出ているのに、原価率は実際より下がってしまっている。それで手計算してみた。かなりを占めるのが副素材の[消耗品費(製)]である。前年は15%程度だったのが2020年は約20%。15%を10%に減らしたかったのに、実際は二倍になってしまった。
原因はわかっている。ビーズとバッグ用口金。厳密にいうとどちらも材料仕入高(製)に仕分けるべきところ、[消耗品費(製)]にしてしまったのだ。この部分が売り上げにつながっていないのが大きい。試作品に利用したものも多いため、一部を研究開発費に振り替えてみた。すると16%になる。まあこんなものかな。引き続き今年は10%を目指そう。
最後に控除前所得金額を見る。持続化給付金を引いた純所得は、前年を大幅に下回っている(よって2020年度の私の時給は、前年からさらに下がってしまった)。これは、持続化給付金で所得が底上げされている年に、まとめて一括減価償却してしまおう、という判断もあったためである。ゆえに今年はもう少しましな数値になるはずだけれど…。
相変わらずのコロナはやはりマイナス要因。外出自粛とテレワークでは、おしゃれバッグやネックレスの需要は減るだろう。でも、着物の循環サイクルは昔からサスティナブルだし、素材感と色柄のクオリティーも高い着物リメイクは、こんな時だからこそむしろ支持されるポテンシャルがあるはず。
一番の課題は、そういうアンテナを持っている人にリーチしていない、ということだと思う。BASEではもっとSNSを活用すべし、とメッセージが入る。でも、苦手な(というより好きじゃない)インスタに、限られた貴重なエネルギーを注げるだろうか。ネットへのアップすら滞りがちなのに。とりあえず、コンスタントなネットアップを第一歩にしよう。
さて。去年の夏、その前年に書いた著作権に関しての投稿にコメントが入った。リメイク販売に関して調べている、もちろん古物商免許は持っていますよね?(着物リメイクには必要でしょう)、という内容であった。あまり仕入れていないので、持っていなくても問題ないだろうとお答えした。頂き物やストックを全部使ってしまい、大量に仕入が必要になったら取得すると。
(上記のように)ストックは膨大で、底をつくことはほぼ考えなくても良いレベル。なんだけれど、ついフラッと買ってしまうこともある。また、アンティークビーズを使うようになり、あって困ることはないだろうと、古物商免許を取得することにした(詳細は別記事で)。
取得してみて気付いたのだが、これで私は古物商相手の市場に出入りできるようになったということ。仕入だけでなく、ストックの販売も可能なのだ。市場での売買はせりだし、入会金や(年)会費もかかるし、私など無縁の世界の話ではあるけれど、それでも何かの役にはたつかもしれない。また、直接個人から買い付けもできる(これもやらないと思うが)。何より、ショップで素材として並べたり、材料込みでハンドメイドキットとしても後ろめたさがないのがよい。
最後に実売のこと。ギフト展に今年も誘ってもらえるかは不明だし、友人のイベントスペースでの展示会は、おそらくコロナが収束しないと実現しないだろう。そこで、えいやっ!と貸しギャラリーを予約してみた。いい度胸してるよと我ながら思う。もっと精進してからのほうがベターだけれど、やってみなよと言ってくれる人がいて、引き金がかちゃっと引かれてしまった。まあなんとかなるだろう。精進なんて待ってたら人生終わってしまうし(私の場合)。
これが9月末から10月初旬にかけて。ネットショップと並行して準備しなくちゃなあ。こっちのブログにも書きかけの記事が数個。相変わらず課題ばかりが浮かぶ年頭である。
とりあえず繰越作業をしておく
去年の制作管理&棚卸表をコピー。制作し、売れてしまって製品も材料もゼロとなっている行を削除すれば、今年の表が出来上がり。これに新たに仕入れた材料を追加し、制作した(製品となった)ものを記帳していく。
会計ソフトも次年度に繰り越す。
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