着物リメイク販売と古物商許可 旧姓併記で取得してみた

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着物リメイク販売と古物商許可 旧姓併記で取得してみた

昨年の夏、著作権の記事に古物商許可に触れるコメントが入った。
古物商当然持っていますよね、という問いで、
着物リメイクで販売するには許可が必要ではないか、という文脈である。
材料は仕入れより頂き物等のストックが多いため、持っていないが問題ないだろう、
必要になったら取得します、とお答えした。
ストックはこの先尽きそうもないほどあるので、これを使っている限り不要である。
がその後、あっても邪魔になるものでも無し、と考えを改めた。
去年の秋のことである。

 

本当に必要なのか?

結果的に取得したのだけれど、その話はあとにして、まずは本当に着物リメイク販売には古物商がマストで必要なのか、を整理してみたい。コメントが入った時点と、申請について調べるときにもざっくりと検索した。

その中にこんな記事があった。

【2020年】最新 古物商許可 完全マニュアル

古物には13品目があげられていて、しっかりと[衣類]例:着物  とある。
けれども、古物に該当しないものとして、

物品の本来の性質、用途が変化したもの
例:洋服をリメイクしてバッグにしたもの、

ということは、着物をリメイクしてバッグやポーチやネクタイにしたものは、古物にはあたらないことになる。着物を洋服にするのも、やはり「本来の性質、用途」を変化させたと言えるのではないか。

古物営業法の趣旨は、国内での盗品等の売買の防止、被害品の早期発見が目的
古物商許可が必要か不要か判断する方法

と、上記サイトの別ページにある。転売の目的で買い付けるためには古物商許可は必須、というのはクリアだけれど、古物商(ネット&実店舗&骨董市)から加工材料として買って加工して売るぶんにはいらないんじゃないか、と再度思った。

 

ところが、行政書士による以下の解説は、きっぱりと必要だと言っている。

中古品の材料で作ったハンドメイド品を販売する場合は古物商許可が必要なのです。

例えば、

・古着を修理して新しい古着として販売する
・中古雑貨の使えそうなパーツを集めて別のハンドメイド品として販売する
・他人の作ったハンドメイド品をさらにリメイクして販売する
ハンドメイド品をメルカリなどに出品するのに古物商許可は必要?

着物を洗い張りして仕立て直して売ったら古物、はそうだろう。リメイクも修理にあたる、と言われればそうかも。でもハンドバッグやネクタイは?

 

今回、申請先の県警にも問い合わせてみた。

警察では、頂き物や自分の着物を(たとえ骨董市やネットオークションで買ったものでも)(リメイクして)販売するだけなら免許は不要、と言われた。だが、転売する目的で仕入れるなら必要になる、と。仕入れと転売。リメイク販売は転売なのか?

どうもすっきりとしない。つまり、気に入って着物として着るつもりで、あるいは自分用リメイク素材として購入した。けれども着る機会無く時が過ぎ、不要になったので(リメイクして)販売する、はセーフ。

私の場合限りなくこれである。やはり要らないんじゃないかとも思ったが、100%当てはまるとも言い切れない。言い切ってしまっても良いレベルではあろうが、グレーゾーンは残る。帳簿上に材料仕入高で計上するものがわずかだが発生している。古物商許可があればとやかく言われることもないわけで、やっぱりとっておこうというのが結論。

 

旧姓での申請にトライ

警察への問い合わせ時に、旧姓で仕事をしているので免許も旧姓で取りたい、可能だろうか?と聞いてみた。すると、希望により旧姓併記ができるという。提出書類の住民票に旧姓が記載されていればよい、とのこと。住民票に旧姓欄なんてあったっけ?

住民票は、市役所まで行かなくても近所の住民サービスセンターで取れる。取ってみたが旧姓は表記されていない。窓口の人によると旧姓が出てくる場合もある、ただしそれがどういう条件によるのかという説明はあいまい。戸籍抄本を添付すればよいのでは、ということになり取得。

警察窓口での面談日時を電話予約、上記書類とネットショップのWho is 情報のプリントも持参した。他にも必要書類はあるんだけれど、窓口でいただいてその場で記載すればよいだろうと考えた。一度ですべてOK になるとも思えなかった。出向いた警察署は、電話で問い合わせた県の本庁とは別の場所にある。古物商は所轄の警察署に申請しなければいけないのだ。

窓口では懸念していた通り旧姓表記で躓いた。若い署員には初めてのことのようで、あちこちに電話している。最初は旧姓の必要がどこにあるのか、と拒むそぶりであった。ずっと旧姓で仕事をしており、ネットショップも旧姓で登録し、Who is 情報も旧姓である。税務署への開業届にも旧姓で営業とわざわざ書き込んで提出しているし、銀行口座も旧姓のものを使っている。

とここまで述べると、向かいの席の署員が、「そもそも銀行口座も名義変更しなくちゃいけない」と口を挟んだ。旧姓名義口座開設の苦労とイライラが甦った。「女性活躍推進のため旧姓での口座開設に柔軟に応ずべし、と金融庁から銀行に通達が出てますけど」即座にお応えする。返ってきたのは沈黙であった。

ようやく署員のあちこち電話確認が終わった。曰く、旧姓併記は可能だが、そのためには住民票に旧姓が記載されていなければいけない、戸籍抄本は提出書類として認められていない(と法律書?を提示)、住民票に旧氏を記載するよう市役所で手続きしてきてくれ、とのこと。

旧姓と旧氏(きゅううじ)。微妙な差があるようなないような。だいたい住民票にそんな欄があることも知らなかったし、旧姓をそういう形で証明できることも知らなかった。もう一度、今度はサービスセンターではなく市役所に行かなければいけない。

旧氏記載を申請すると即旧氏記載の住民票を取得できる。この記載は一度取り消しできるけれど、取り消してしまうと再度記載できない、らしい。取り消すってどういうシーンだろう、と考えたが思いつかず、了承して申請。氏と姓とどう違うのか?と尋ねたら同じようなものです、というアバウトな回答であった。

無事住民票を手にして、旧氏欄を見る。小さく旧姓が表記されている。これから旧姓が分かる書類を求められたら、これ一枚でいけるのか? 警察担当者にこれ以上必要なものはないか、とその場で電話してみた。すると、言い忘れたが、市役所でもう一種類別の書類も取得してくれ、と。どうしてこの前の面談で言わない!?  市町村長の証明書。

三度手間は回避できそうだが、何の証明書?  「準禁治産者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨を証明するもの」。なんのことかよくわからないまま、市役所の窓口で尋ねる。[身分証明書]ですね、とのお答え。破産していないことを証明するものらしいけれど、単に身分証明書と言われれば、免許証でいいかしら、と即思ってしまう。まぎらわしい。しかしこんなものもあるんだね。

他の書類は窓口でいただいているので、それらに記載して二度目。不備なく申請が終わり、待期期間の40日を待つ。

 

選択的夫婦別姓と旧姓使用

30年くらい前(正式に覚えていない)入籍を決意したのは、選択的夫婦別姓がもうすぐ法制化される、という見込みがあったからである。その後子供も生まれ、不便と利便(事実婚より税制その他の優遇がある)の混ざった暮らしを、なし崩し的に旧姓使用で生きてきた。

数年前の夫婦別姓をめぐる裁判で、最高裁は強制的な同姓利用についての違憲はしりぞけたものの、国会での議論が必要と答弁している。それを受けてか、昨年は「第5次男女共同参画基本計画」の策定にあたり、選択的夫婦別姓の導入が争点のひとつとなった。自民党女性議員だけでなく若手の男性議員も賛成という報道があり、わずかの期待を抱いた。結果、

夫婦が希望すれば、結婚前の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓を巡り、原案には「政府においても必要な対応を進める」などの前向きな表記が盛り込まれていた。しかし、自民党内の保守系議員らの反発を受けて、第5次計画では「国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進める」とした。
(読売新聞 2020.12.25)

これまで記載されていた「選択的夫婦別姓」という文言自体が削除されてしまった。これを読売新聞さえ、「原案より後退」とタイトルに書いた。上記裁判の折りには、旧姓使用が広がっているから旧姓で良いのでは、とか、旧姓使用の環境を整えるべし、などの意見も聞いた。旧姓による銀行口座をめぐる金融庁の通達はこの立場のものだろう。マイナンバーカードやパスポートへの旧姓併記もそうである。

それで本来の男女の平等は達成されるのか、という本質論の前に、それなら旧姓併記をもっとスムーズにできるようにしろよ! と思う。このレベルまで来るのに30年。ジェンダーギャップは2020年までどんどん下がり続けて121位。120位はアラブ首長国連邦、119位はペナン、続いての上はアンゴラ、東ティモール。

下位の122位はクェート、続いてモルディブ、チュニジア、ギニアと、アフリカや中東・アジアの小国やイスラム圏の国が32か国。下位だけではない。上位50か国も中国、韓国、ハンガリー、ギリシャ以外の46か国が同じくアフリカや中東・アジアの小国やイスラム圏の国。

日本の順位の推移、2006年は79位、2013年105位、2017年114位。つまりこの30年、アフリカや中東・アジアの小国やイスラム圏の国に抜かれ続けてきたということ。変わる彼らに変わらぬ我ら。

あと5年。次の男女共同参画基本計画の見直しまでに夫婦別姓の機運は高まるのか。強硬に反対する年寄り自民党保守派がみんな死んじゃうまで無理かもしれない。でも年寄りばかりじゃなくて、「選択的」とあるように希望する人だけの問題なのに、希望しない人にも同姓を強制しないとイヤな人たちがいるんだよなぁ。

「選択的夫婦別姓」反対派の声が幅を利かせ続ける日本社会のおかしさ
同姓の強制は世界中で日本だけ (President Online2020.12.25)

強制ではない、男女どちらかを選べるんだから平等だ、という方。男性の姓96%をどう説明する? そもそも同一とする法律があるのは先進国で日本だけなのをご存知?

しかし30年。なぜ彼らは変わったのに我らは変わらないんだろう。いやこれでも変わっているのか?

所轄警察から古物商が許可されたので取りに来いと連絡が入った。窓口に担当者はおらず、別の係員に○○ですと旧姓を名乗る。銀行口座は名義変更すべき、と割り込んだ署員か。迷わず併記された許可証を手渡される。受領欄に旧姓で署名すると、そのまま黙って受け取られた。

 

2 Responses

  1. ユキ

    こんにちは
    記事拝見させて頂きました。
    自分は旧姓が気に入ってまして
    旦那の姓になるのに抵抗を感じました。
    しょうがなく旦那の姓に全ての物を変えました。
    旧姓で仕事をすることで、自分を保ちたくて、旧姓で古物商の許可を取りたいと思っていましたが
    ネットなので調べるとできないと書いてありました。なぜ日本はこんなにも柔軟に対応してくれないのが不思議でたまりません。
    実際に旧姓で古物商を取得された方がいるというのはすごく嬉しい気持ちになりました。
    私も旧姓で提出する際の参考にさせて頂きます。
    長くなりましたがこの記事を書いてくださりありがとうございました。

    • Ms K's

      お読みいただき、ありがとうございます。
      コメントもいただけて、とても嬉しいです。

      同じように不便や不快や疑問を感じられている方はたくさんいると思います。世論調査では選択的夫婦別姓容認は6割から7割です。私も日本の政治行政と世論との乖離が不思議でたまりません。

      古物商免許、厳密には旧姓”併記”なので、お茶を濁されたようで複雑ですが、小さな一歩ではあると思います。

      先日マイナンバーカードの申請用紙が届き、名前の蘭にはすでに旧姓が印字されていました。住民票を旧氏併記に変えたので自動的に旧姓併記になったみたいです。

      ところでこの旧姓併記更新の手続き、マスコミ等でまったくアナウンスされていませんよね。市役所ではスムーズでしたが、県中央署はともかく、分署の警察署員は知らなかった。旧姓利用可能なことを広く世に知らしめ、行政の末端まで広く徹底させようという意思がないとしか思えません。

      と、文句ばかり言っていてもしかたない。たくさんの人が旧姓を使うようになれば、政治も変わっていくでしょう。おたがいめげずに頑張っていきましょう。

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