昨日サイトへのアクセス制限を外した。
まだサイト作業も若干残っている。
でもきりがないので、本日オープン宣言をすることにした。
すでにずるずると記事は書いていたし。
OPENの記念すべき一着はこれ。これしかない。もう季節外れになってしまったけれど、この夏復活した着物リメイクの一着目にして、完全オリジナルで作った一着目でもあり、もうこれしかない一着なのである。
これもまた母の押入れから仕入れてきたもの。ただし、どういう由来で押入れに眠っていたものか、確か私があげたような記憶がうっすらあるんだけれど、捨てるのもなんだし、寝巻にでもしてよと。でも、そうだとしても、何故私の手元にあったのかはまったく不明(誰かにもらった?)。
それを引き取ってきて、まだ生地はしっかりしてるけど、この柄じゃあねえ、布巾ぐらいにしかできないよねえ、でも布巾もいらないしなあ、やっぱり捨てよう、と一度はごみ箱に捨てた。のだが、布巾にできるならしたらいいんじゃないかと思い直し、ほどいてみた。ほどいていて、気持ちが変わった。
縫いがすごいのである。紺地と白地の大胆な模様で、色が切り替わるごとに糸色も変えている。それだけ丁寧な仕立ての浴衣、染も表裏同じに染め上っている注染であるし、敬意をもってホームウェア(兼夜着)にリメイクすることにした。浴衣が夜着になるのは運命であるし。
それでネットで作り方を検索したのだが、どうもピンとくるものがない。洗った布地をテーブルに広げ、パズルのように並べてみた。それで行けそうな気がしてきて、とにかく試作してみたのだ。
いきなりの直線直断ち、直線縫い、ボタン(ホール)もなしでかぶって着るスタイル。はからずもK’s Remake のベースとなるデザインが立ち上がってしまった。
今にしてみれば、その段階から写真を取っておけばよかった。残念ながらこの夏縫ったものは経過写真が一枚もない。だってこんな展開になるとは思っていなかったんだもの。
でも、何故ネットに料理のように着物リメイクレシピがないのかも、なんとなくわかるような気がした。縫いの過程を写真に収めるのはすごく大変だし、作り方の作図にもテクニックがいる。よほどの情熱とスキルがなければ難しい。というか、リメイクするような人は、多くブログ運営やPC作業から遠いところにいる人なのだろう。私もレシピを公開したいけれど、作図がねえ、ネックです(課題)。
さて、そうやって縫い上げてみれば、予想以上に立派なものができた。着てみると、我ながらけっこうイケて見える。これならTシャツ感覚で外にも着ていける。浴衣地に、アタシを甘く見るなよ! と言われたような気がした。布力がやっぱりすごい。ゴミ箱から拾って本当に良かった。いや一度でも捨てたりして、本当にごめんなさい。
しかも、である。なんなんだこの陶然とする肌触り!!? 別記事にも書いたけれど、汗を吸い、吐きだし、風を通す布の感触が、カットソーのコットンやインド綿ともまったく異なる心地よさなのだ。同じ綿でもこんなに違うのか。薄く、軽く、なのにこれだけ丈夫で、更に更に、この染めのすごさ。日本の夏はこれしかな~~~い、と大声で叫びたいぐらい。
ちょっと見、旅館の浴衣である。あるいは一昔前に町内であつらえた盆踊り用お揃い浴衣。そんなふうにばかにしていたことも、浴衣地に謝らなければいけない。流水模様に文字が入っているが、「天流下れば」に対して「飛沫がかかる」のほうが左右が逆転している。裏表いずれを出しても、どちらかの文字は反転したものになる。凝ってるじゃない! 染めが本当にきれいで、色落ちも全然ない。いやあお見事。
すっかり惚れ込んで、少しずつ細部を変えてもう二枚縫った。それから毎日とっかえひっかえ、まだ着ている。もちろんざぶざぶと洗濯機で洗いながら。
以上の点から着物リメイクは、たぶんどの家の箪笥の底にも一枚くらい眠っている、もう着なくなってしまった浴衣から始めることを強くお勧めする。まず第一に、縫いやすい、扱いやすい。布の力で粋なシャツブラウスにも、シックなワンピースにも、キュートなチュニックにも変身する。カジュアルなコーディネートも得意。ジーンズにもばっちりである。
とこんなふうに浴衣に開眼し、着物を日常に取り戻せたことが嬉しい。この嬉しさがリメイク熱復活に繋がったのだと思う。
浴衣万歳!
第二のふるさとイタリアで、シンクロする動きあり。ものを捨てないという以上に、ものに対する敬意が強いんだと思う。もともとのものの素材としての力もすごい。あとアレンジ力とデザイン力も。
レシピ、課題の作図もなんとかできて、公開までこぎつけました。
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