着物~ビンテージキモノ
~Kimono Remake
若いころにハマった着物、いつしか遠ざかってしまった着物、ビンテージ(アンティーク)キモノの面白さに、プロにワンピースやアロハシャツを仕立ててもらったこともあった。それもまた遠い昔のこと。
そんな忘れていたキモノリメイク熱が、ある日突然一枚の浴衣地で復活した。このたびはオリジナル&ハンドメイドでチャレンジ。一部簡単レシピも公開。[本文を読む…]
Open宣言:浴衣から始めよう
- 10/03 2017
友を応援することと、知らない人も応援するということ
CJWoman とは、「ミドルエイジ後期の超熟女ライターたちが、同年代の女性たちに発信するブログマガジン」。 テーマは健康、ファッション、暮らし、夫婦・家族、旅、グルメ、、、、と多岐にわたっていて、イマドキめずらしく広告がない(本などAmazonへのリンクはある)。私はよくネット検索で色々調べるのだけれど、広告の無いサイトというのは本当に珍しい。個人ブログにもさっき検索したホテルがのっそり並んでいたりして、うるさいなあ、もう予約したわい! とうんざりする。 口コミ・評判サイトもしかり。当該商品の広告がサイドバーや行中に出るのみならず、口コミ記事そのものが広告だったりする。だから広告なしサイトには、それだけで好感度と信頼感が倍増しになる。 友人がこのウェブマガジンを運営しているメンバーの一人で、着物リメイクでサイト作ったから記事書いてよ、とおねだりしたら、お、面白いね、浴衣シャツもいいじゃん、とさっそく書いてくれた。おかげでアクセスも増え、その後もぽつぽつ覗いてくれる人がいる。ありがとう! ありがとう!! 友人と、訪れてくれた全ての方に!!! 和布の楽しみーK’s Remakeのかんたん型紙ー 友人も身近に着物があるところ(呉服屋)で育った人だから、それで余計関心を持ってくれたのだと思うけれど、反射反応的に応援してくれたのがとても嬉しかった。だからここにもお礼の言葉を残しておこう。 *** 先日CJWomanの記事を拾い読みしていて、[夫婦・家族]>[夫婦問題カウンセラーの人生相談]コーナーの数々の悩み相談とそれに対する回答に、つい読みふけってしまった。運営ライターさんの一人がカウンセラーなのだ。それを読んで、グチは友達に聞いてもらえばいいけれど、意見やアドバイスを求めるのなら、やはり専門家にきちんと相談するのが一番だな、と思った。 中に厳しい意見もあって、それがまた、友人だとなかなかこうは言えないなあ、とうなるような回答だったりする。反射反応のように応援するのとは違うけれど、やはりこれも力強い応援の言葉であった。そもそも、仕事を脇に置いてこういうサイトを運営するということに、同年代の女性たちを応援したい、という思いが込められている。 この人生相談コーナーでは、コメントも大変参考になる。専門家に加えていろんな人に意見を聞くのが良いということも、あらためて思った。答えはひとつじゃない。耳に心地よく響かない意見も、いくつかある異なる意見の一つであれば、素直に参考にできる。私だったらこうするとコメントを寄せる行為もまた、悩める誰かに対する応援だ。 なんなんだろう、この感覚。昔サイバー空間に同好の志が集まったコミュニティがあって、何年か参加していた。あの濃密な共感(承認)の応酬とは全く違う。facebookで友人の投稿をシェアしたり、良いね!ボタンを押すのとも違う。相手の顔も知らないのに、応援したり、されたりしている。個人的な関係につきまとう感情の動きがないことがいいのだろうか。つまり、なんのしがらみもないことが。 『弱いつながり』という東浩紀の本のタイトルが浮かんだ。あれは、(Google等の)検索ワードのアルゴリズムが、勝手に欲望や志向性を予測して個人の行動に枠をはめてくることに対して、いかにそれを裏切っていくか、というような話しだった。そのためには観光旅行(旅ではない)がおすすめと。つまりミーハーな(とは言っていなかったかもしれないが)観光客が非日常の場で出会う予測不能な「弱いつながり」こそ、新たな検索ワードをもたらすのだ、というような。 アズマンは、サーバー空間の外というだけでなく、今いる場所から別の場所にリアルに移動することの重要性を説いているんだけれど、そこに生じる「弱いつながり」はサーバー空間の中にもある、と言えないこともない。なんてことも考えつつ。いや、言いたかったのは、そんな場でもあるCJWoman、私も応援してます、ってことなんだけどね。 CJWoman そうそう、応援ということではこの記事のことを書かねば。 『Caravan to the future』、千年続くキャラバンの映画を見ませんか? この記事も前述私の友人によるもの。予備知識なく触れた、西アフリカはサハラ砂漠に続くラクダによる塩キャラバンのドキュメンタリー映画。それを撮ったのが日本人(とフランス人のハーフ)女性のアリサ・デコート・豊崎監督。彼女が塩キャラバンを世界遺産に登録する運動の一環として、映画の自主上映を呼びかけていることを知るや、友人、即、「応援したい!」と記事を書いた。 CJWomanはミドルエイジ後期女性の、主に身の回りの関心事にターゲットしたマガジンだけれど、身の回りから世界は繋がっている。これなども、予測不能な「弱いつながり」がもたらした新たな検索ワードの連鎖である。アリサ監督、私も応援してます! - 10/01 2017
Sybillaの風呂敷
しばらく前、駅ビルをぶらついたときのこと。 和小物の店で手ぬぐいでもチェックしようと思っていたら、店そのものがなくなっていた。 全館改装したばかりで、ユニクロと、その兄弟のようなブランドが大幅に床面積を増やしていた。 それでも、呉服店は残っていた。奥には振袖を試着している女の子がいる。 店頭で目に留まったのが和なのに和でないような微妙な、でもなかなか素敵な模様の風呂敷。そうそう、手ぬぐいの他にもあったよね、風呂敷。和布ががっつり生き延びているのはそれだけで嬉しい。 日常使いのものとして、たとえばクッションカバーとか、テーブルクロスなんかにも使える。でも、やっぱり、イケてるのは、布で包むエコバッグ元祖としての風呂敷使い。 見ればスペインのデザイナーズブランドSybillaのものであった。制作は京都である。 思ったのは、そうか、こんな風に和の伝統が伝わったり、フィードバックしたり、グローバルに行ったり来たりするものなんだなあ、ということ。 これは綿麻でリバーシブル。はおりジャケットをリバーシブルで作ったら良さそうじゃん! などと思っていたら、オンラインストアで和テイストのブランドジャケットが目に留まった。 独特の華やかな花のプリントに、和や中の影響が感じられるフランスのあのブランドである。が、これはお花模様とは一味もふた味も違うシブはで模様。このブランドが和や中にインスパイアされているのと同じくらい、私もこのジャケットにインスパイアされた。そのことにちょっと感動するよね…。 - 09/27 2017
ノーボタン、というかノーボタンホール
前回紹介した麻のはおりジャケット、 衿下を一か所だけとめるデザインであるが、 これはボタンではない。ピンバッジである。 問題はボタンホール。家庭ミシンだとボタンホールがなかなか上手にできない、ということもあるけれど、それ以上に、着物地に穴をあけるのに気が進まないのだ。 かぶりシャツブラウスがいいのは、ボタンがいらないこと。どうしてもボタンが必要な場合はボタンホールをあけるのではなく、友布やひもでループを作るとか、スナップ止めにして飾りボタンにするとか、回避策はある。 ジャケットやコートの場合は、着物を帯で締めるように、ウエストをベルトで締めれば良い。ベルト結びが良いのは、融通無碍であるところ。インナーが薄手の場合は打ち合わせを大きく、厚手の場合は小さくして、いかようにも調整できる。太ったり痩せたりしてもお直し不要。これぞ着物リメイクの王道ではないだろうか。 後日談 ショッピングモールでピンバッジ(ラベルピン)を物色してみたけれど、他のアクセサリーに比べると驚くほど品ぞろえが少なくて驚いた。そういう自分もこれまでほとんど関心がなかったのだが、ただ、肩こりする重いネックレスをつけられなくなってからは、アクセントにいいんじゃないか、とは思っていた。 どれどれとネットを検索してみた。それなりにいろいろある。が、購入にいたるほどのものはない。シルバーとかスワロフスキーとか、アクセサリーとして良いな、というものはそれなりのお値段。あと、あまり重いのもねぇ。 で、何を買ったかというと、ピンズ型くるみボタンパーツセット 10個724円也。クルミボタンは友布でも、きれいな色の八卦でつくってもおしゃれだと思う。あるいは、思い切りブローチ感覚でお気に入りの模様を切り抜いてくるとか(わくわく)。 結局は欲しいものは自作するしかないのかもしれない。ピンバッジのパーツだけ買って、チャイニーズボタン(組みひも状に結んだもの)や、帯地などで作るのも面白そう。手持ちのお気に入りは革に金糸の刺繍風で、似たようなものがフェルトとビーズなんかでも作れそう。あるいは八掛や同裏でループ紐を作れば、いろいろアレンジもできそうだし。となると、きれいなループ紐をつくるのがつぎなる課題か。 9月は溜めていた仕事がやまほどあって(サイト作りにもハマってたし)、リメイクは1点も作れなかった。ミシン仕事はポケット貼り付けとベルトを作っただけ。つくりたいものやアイデアはいっぱいあるんだけどなあ。エネルギーも気力も時間も不足している。 参考: ・細いひものひっくり返し方(ループ返しを使わずに) ・糸ループ ベルト通しの作り方 鎖編み ・「飾り紐」「アジアンノット」の結び方・組み方 自作アクセサリー ・アジアンノット - 09/22 2017
出番多し、七分袖のはおりジャケット
これも麻。 洗ったらバリバリのはりで、布というより紙というか板というか。 それで二年間放置していた。 今夏流水模様の浴衣の次にこの着物地を選んだのは、ひたすら縫いやすそうだったから。 暑い盛りだったので、まずはノースリーブのトップを縫ってみた。 これが予想以上にいいかんじに出来上がったので妹に進呈(妹も、母がこの着物を着ていたのを覚えていた)。 着てみると固さはデメリットではなかった。肌にまとわりつかず、涼しい。着物だと地味な印象なのに、洋服にしてみたら布の個性がかなり強く出る。本当に、作るたびに、着物の布力に驚かされる。 少ししぼのある小さな絣に面白い風合いがある。かすれ具合がビンテージジーンズのようであったり、あるいはジャガード織りのようにも見えたり。光の当たり具合で陰影が生まれ、高級感さえあって、着物だと普段着なのに洋服だと少しランクが上がる。テンションも上がって、ノースリーブのトップをもう一枚、続けてジャケットも縫い上げた。このジャケットが、盛夏の冷房対策に、朝晩の涼しくなった初秋のはおりものにと、実に重宝なのである。 今年の夏は、浴衣のスゴサにも開眼したが、着物の麻のスゴサも少しわかったような気がする。麻の洋服やスカーフを何枚か持っているが、着物の麻はそのどれとも違う。洋服の麻は多少厚みの違いはあっても、皆同じ表情をしている。極端な言い方をすれば、色が違うだけなのだ。 ところが、着物の麻は本当に表情が豊か。ポロシャツになった縮みの麻とこの麻は全く違う表情をしているし、(まだ紹介していない)絽のかぶりシャツブラウスもまるで違う。これはひとえに織りの個性でもある。服地の麻はみな平織だけれど、着物の麻は、しぼの出し方や縮みの具合、または絽など、全て違う。ほどいた麻がまだ二枚、ほどいていない麻着物もある。どうぞ来年の夏まで、我がリメイク熱が冷めませんように。 その後。 お彼岸の墓参りついでに母の箪笥をあさったら、残り布があった。それでポケットを縫いつけ、リボンベルトも作ってみた。ウエストをベルトで絞ると印象がシャープになってなかなか良い。 - 09/17 2017
紺絣のショール付チュニック
母の押入れから仕入れてきた紺絣から、ノースリーブのチュニックとかぶりショールができた。 何回も水をくぐって柔らかくなった生地は、浴衣地より厚みがあり、吸汗性も肌触りも抜群。 着回しのきく着心地の良いセットとなった。 実はこれに加えてパンツも縫ったのだが、上下で合わせるとパジャマっぽくなってしまう。 上だけであれば、白の短めのスキニーパンツやジーンズがぴったりはまる。 ノースリーブチュニックは台形型に布をはいで直線縫いしただけの、K’s流イージーソーイング。首回りも袖ぐりも潔くまっすぐです。 予想外の収穫はかぶりショール。長さ132センチの全巾2枚を、首のあき左右32センチ、身ごろ62センチを残して肩とそで下を縫い合わせ、あき部分と袖口をまつり縫いしただけ。かぶって袖を通せばポンチョ、ウェストに結べばリボンベルト、ふわっと肩にかけて普通にショールにしても柔らかくなじむ。ざぶざぶ洗えるので汗拭きタオルにもなるというマルチ活躍ぶり。 夏仕様と思いきや、布地に厚みと温かみがあるので、長そでカットソーの上にジャンスカ風にも着られそう。先日着ていたら友人がいたく気に入り、私も作りた~い、とおっしゃるので、このセットもレシピ公開しようかな(来年の春頃まででいいかしら)。 - 09/15 2017
さらさらウールの細縞ストレートパンツ
これからの季節に大活躍(予定)のウールのストレートパンツ、二年前の作。 ウールと言ってもとても軽くてさらさらで、スリーシーズン行けそう。 色合いも手持ちのショートジャケットにぴったり。 不思議なのは、生前の母の洋服の色や柄選びには、いつも地味だなあ、ダサいなあ、 と思っていたのに、残された(若いころの)着物の色や柄がけっこう私好みなこと。 全巾に半巾を足し、さらに股下には三角に足し布をしているので、不要なあまり布はほとんどなし。 イージーにウエストゴムとせず、ただしジッパーは面倒なので、別のイージーな方法をひねり出した。 裁縫箱の底に転がっていたマジックテープと、鍵ホックをつかって。 しかもマジックテープはたまたまあったもので色があっていない。 我ながら公開をためらうイージーさだけれど…。 一応説明すると、半巾と全巾を継ぎ合わせたラインを前に持ってきて、左だけウエストから15センチ開けてぬい、その縫い代に下布を足しているだけ。この部分と両脇にダーツを取ってウエストに沿わせている。それでもピッタリにはならないので、ベルトで少し絞って着用する。後ろにもダーツを入れればよかったと、あとで思った。もうひとつの反省は、ここに取り付けたポケットの小ささ。これももっとしっかり作ってつけるべきだった。反省は次作に活かしたいけれど、どうかなあ、いきあたりばったりだからなあ…。 ところで、着物地からのリメイクでは、ウールは綿麻の絣や浴衣に次いで縫いやすく、扱いやすい素材。もともとウールの着物は普段着として単衣で縫われる。カジュアルなのである。 突然思い出した。遠い記憶に、確か中学生くらいの時、秋のお祭り用に作ってもらったウールの着物がある。赤と黒の大きな格子で、あれなど日本版タータンチェックだ。ジャケットにもコートにも、スカートにも良い。どこに行ってしまったのだろう、あの着物。母の(未整理の)箪笥の底にでもまだあるかなあ。それとも座布団になったり、何かになったりして、着物命を全うしたのかもしれない。